トイレの凍結を予防するには？凍結してしまったときの対策も紹介

真冬の寒さが厳しくなると、家庭の水回りでのトラブルも増えてきます。その中でも特に厄介なのが、トイレの凍結です。突然トイレが使えなくなったり、最悪の場合は配管が破裂したりと、深刻な事態を引き起こす可能性があります。しかし、適切な対策を知っていれば、こうしたトラブルを防ぐことが可能です。

トイレ凍結の原因をはじめ、予防策や凍結したときの対策を紹介します。また、自分では解決できないときの対処法も紹介するので参考にしてみてください。

トイレが凍結する原因は？

寒冷地では、トイレの凍結が深刻な問題となることがあります。凍結の主な原因は、気温の低下や長期間の不使用などです。

ここでは、トイレが凍結する具体的な原因について詳しく見ていきましょう。

排水管や給水管が凍結する

トイレの凍結は、排水管や給水管内の水が凍ることでも起こりやすくなります。トイレの排水管や給水管のどちらかが凍ってしまうと、タンクからの水が流れなくなってしまうためです。特に、外気に触れやすい場所にある配管や、使用頻度の低いトイレは凍結のリスクが高くなります。

排水管が凍ると、トイレ内にたまった水が流れません。給水管が凍った場合は、レバーなどを操作してもタンクから水が流れなくなります。一般的に、トイレはリビングなどの暖かい場所から離れていることが多く、室内にあっても排水管や給水管が凍ってしまうことがあるので注意が必要です。

トイレを長期間使用していない

トイレを長期間使用しない場合も、凍結のリスクが高まります。これは、動いている水に比べ、静止した水は凍りやすい性質があるためです。

長期の旅行などでトイレを使用しない期間が続くと、配管内の水が動かなくなります。この状態で気温が氷点下まで下がると、排水管や給水管の中にある水が凍ってしまう恐れがあるでしょう。

旅行や出張などで長期間トイレを使用しない場合は、水抜きといった凍結防止の対策をとっておくのがおすすめです。

温水洗浄便座が凍結する

温水洗浄便座も、トイレが凍結する原因のひとつです。温水洗浄便座の内部には、一般的な給排水管より細い配管が張り巡らされており、気温が低くなると凍結する可能性が高くなります。凍結してしまうと、温水洗浄機能が停止するだけでなく、内部の部品が破損する恐れもあるでしょう。

特に、水を温める機能や洗浄ノズルの動作に支障を来す可能性が高くなります。さらに、凍結による膨張で配管が破裂すると、水漏れの原因にもなるので注意が必要です。

トイレの凍結によって起こるトラブル

トイレが凍結すると、単に使用できなくなるだけでなく、さまざまなトラブルを引き起こすことがあります。トイレの凍結によって起こる具体的なトラブルとその影響について詳しく見ていきましょう。

排水管や給水管の破損

トイレの凍結は、排水管や給水管の破損という深刻なトラブルにつながる恐れがあります。水が凍って氷になると体積が増えて、管の内側から圧力がかかるためです。その結果、排水管や給水管に負担がかかり、最悪の場合、破損してしまう可能性があります。

また、管自体は無事でも、配管のつなぎ目やパッキンなどの破損につながるケースもあるでしょう。破損が起こると、水漏れや悪臭の発生など、二次被害に発展する危険性もあります。

温水洗浄便座の故障

トイレの凍結は、温水洗浄便座の故障にもつながります。洗浄機能が使えなくなるだけでなく、部品が劣化してしまうことも考えられるでしょう。温水洗浄便座は電化製品のため、凍結によって内部の配管や電子部品が損傷を受けやすいためです。

故障してしまうと修理が必要になりますが、排水管や給水管の破損に比べて、修理費用が高額になる傾向にあります。故障による水漏れや悪臭などの二次被害は起こりにくいものの、経済的な負担が大きくなるため注意が必要です。

トイレタンクや便器の破損

トイレタンクや便器が破損してしまうこともあるでしょう。便器内の排水トラップにたまった水が凍ると、氷の膨張によって便器自体にヒビが入る恐れがあります。便器が破損してしまうと、トイレそのものを交換しなければなりません。

また、タンク内には、ボールタップやフロートバルブ、オーバーフロー管など、さまざまな部品が取り付けられています。凍結によってこれらの部品に劣化や破損が生じると、水漏れや水の出が悪くなるなどの問題が発生するため、部品交換や修理が必要になります。

トイレが凍結してしまったときの対処法

トイレが凍結してしまった場合、適切に対処する必要があります。凍結した場所によって対応方法が異なるため、状況を正確に把握することが重要です。トイレの凍結に慌てず、冷静に対応するためのポイントをしっかりと押さえておきましょう。

排水管が凍結した場合

トイレの排水管が凍結してしまった場合の対処法は2つあります。まず、自然に解凍するのを待つ方法です。ただし、解凍する前に水を流してしまうと水があふれるため、完全に溶けるまでトイレを使えない点に注意しましょう。

急ぐ場合は、ぬるま湯を流して解凍する方法もあります。熱湯を流すと急激な温度変化で便器が破損する恐れがあるため、40度以下のぬるま湯を流すのがポイントです。また、一気に流すとあふれてしまうことがあるので、様子を見ながら何回かに分けて流しましょう。

給水管が凍結した場合

給水管が凍結した場合は、自然解凍を待つのがおすすめです。しかし、急いで解凍したい場合は、いくつかの方法があります。まず、ヒーターなどを使ってトイレの全体の空気を暖めてみましょう。凍結した管の部分にタオルを巻き、そこにぬるま湯をゆっくりかけるのも有効です。熱湯をかけたり、管に直接お湯をかけたりすると配管が破裂する恐れがあるので避けてください。

給水管にドライヤーの熱風を当てる方法もあります。熱くなりすぎると管が破損することがあるので、給水管から20センチメートルほど離した場所から当ててみてください。

温水洗浄便座が凍結した場合

温水洗浄便座が凍結した場合は、慌てずに対処することが大切です。まず、給水ホースや給水接続部を、お湯に浸した布で温めましょう。熱湯や熱風を直接当てると、部品が破損する可能性があるので注意が必要です。

または、室温を上げて自然解凍を待つ方法もあります。解凍中は、突然洗浄水が噴き出すことがあるため、こまめに状況を確認しましょう。もし水が噴き出た場合は、止水栓や元栓を閉めるなどして水を止めます。温水洗浄便座が凍結して故障した場合、メーカー保証期間内でも有償修理となることがあるので注意しましょう。

トイレ凍結を防ぐ！効果的な予防策

適切な予防策を講じることで、トイレの凍結は防止できます。

トイレの凍結を防ぐための効果的な方法を見ていきましょう。

水抜きする

トイレの水抜きをするには、まず止水栓を閉めます。止水栓の溝にマイナスドライバーを差し込み、蛇口を閉めるときと同じように、時計回りに回しましょう。

次に、トイレを流すときのようにレバーを引いて、タンク内の水を流します。水が流れなくなったらタンクが空になった証拠です。温水洗浄便座がある場合は、ノズル洗浄モードで水を使い切り、本体の水抜き栓を緩めます。

必ず止水栓を閉めてから作業しましょう。作業中に水が噴き出してくることがあるので、床に雑巾を敷いておくのがおすすめです。再びトイレを使用する際は、止水栓を開けるだけでタンクに水が供給されます。温水洗浄便座を復旧させるときは、ノズルに紙コップをかぶせてから洗浄モードを起動してください。

凍結防止ヒーターを設置する

凍結防止ヒーターは、手軽にトイレの凍結を防げるアイテムです。設置する際は、ヒーターを配管に巻き付けて保温テープで固定し、コンセントに接続します。ヒーター部分が重なってしまうと火災の原因になるので注意しましょう。

凍結防止ヒーターには、外気温に反応して自動的に作動するサーモスタットタイプと、ヒーター自体の温度によって作動する自己温度制御タイプの2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、トイレの状況や地域によって適したタイプを選びましょう。1日中使用しても1か月の電気代は数百円程度なので、凍結によってトイレなどを交換する費用と比較すれば経済的です。

不凍液を使用する

不凍液を使用するのも、トイレの凍結防止に効果的な方法です。まず、トイレタンク内の水を抜き、便器の中に適量を流し入れます。

使用する際は、必ず住宅用の不凍液を選びましょう。車用の不凍液もありますが、エチレングリコールが使用されており、下水に流すことが禁止されています。間違えて使用しないように注意してください。また、コストを抑えたいときは、代替品として車のウォッシャー液を使用する方法もあります。

トイレの凍結が直らないときは？

トイレが凍結してしまうと、自力では直せないこともあります。自力で凍結を解消できないときの対策について詳しく見ていきましょう。

プロの業者に依頼する

トイレの凍結を自力で解消できない場合は、プロの業者に依頼するのがおすすめです。凍結した場所の特定や適切な解凍作業には専門知識が必要となり、素人の対応では配管や便器を傷める恐れがあります。

プロに依頼するメリットは、迅速な対応と確かな技術だけでなく、凍結予防のアドバイスも得られる点です。また、業者によっては、作業後の不具合に対する無償修理などのアフターサービスも充実しています。凍結による配管やパッキンの破損の可能性もあるため、一緒に点検してもらうと安心です。

プロの業者を選ぶときのポイント

トイレの凍結をプロの業者に依頼する場合は、まず、水道局指定工事店であることを確認しましょう。これは、技術力や設備が一定基準を満たしていることの証明になります。

水道管の解凍作業に対応しているかどうか確認することもポイントです。また、24時間365日対応可能な業者を選びましょう。トイレは生活に欠かせないものなので、緊急時にも迅速に対応してくれる業者が安心です。さらに、見積もりに料金が発生するか、アフターサービスはあるかなどの点も確認しておきましょう。

トイレ凍結に関するよくある質問と回答

トイレ凍結に関してよくある質問をまとめました。万が一のトラブルに備え、事前にチェックしておきましょう。

水を出しっぱなしにすると凍結防止になる？

蛇口から鉛筆の芯ほどの太さの水を流しっぱなしにしておくと、水道が凍結して水が出なくなるのを防げます。これは、流れる水が凍りにくいという原理を利用した方法です。

水を出しっぱなしにする方法は、トイレの凍結にも有効です。ただし、トイレタンク内にダイヤルが設置された流動式のトイレにしか使えません。

トイレ凍結で水道管が破損したら保険を使える？

加入している火災保険に「凍結水道管修理費用保険金（水道管修理費用保険金）」特約が付いていると、保険適用が可能です。保険会社によって異なりますが、特約に加入している場合、凍結による水道管の修理費用が1事故あたり上限10万円まで補償されます。

なお、多くの火災保険には「水漏れ被害」の補償が含まれているのが一般的です。凍結による水道管の破裂で家財や建物に被害が出た場合は、この補償が適用されます。ただし、水道管自体の修理費用は補償されないため、契約している火災保険の内容を確認しておくことが必要です。

プロの業者に依頼したときの費用相場は？

トイレの凍結解消を業者に依頼する場合、費用は状況によって大きく変わります。単純な凍結解消なら8,000円から1万5,000円程度が相場です。ただし、凍結場所や状態次第で3万円ほどかかることもあります。

一方、凍結が原因で配管が破損した場合は、解氷作業に加えて修理が必要です。作業のしやすさによって2万円から5万円程度が相場とされています。また、夜間や休日の作業では追加料金が発生することもあるでしょう。業者によって料金は異なりますので、急がない場合は複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。

まとめ

トイレが凍結する原因は、気温低下や長期不使用など、さまざまです。トイレが凍結してしまうと日常生活に支障を来すだけでなく、配管の破損や便器の故障などのトラブルを引き起こします。そのため、凍結予防の対策を適切に行うことが大切です。凍結してしまった場合、自力で解消する方法もありますが、難しい場合はプロの業者に依頼することも検討しましょう。

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