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散水栓を立水栓に変更する方法ってあるの?必要な手順と注意点を解説
散水栓と立水栓はそれぞれ形状や用途が異なるため、「新築時は散水栓だったが、立水栓に交換したい」という方もいるのではないでしょうか。
散水栓を立水栓に交換することは可能ですが、取り外しや取り付けには工具や材料などの準備が必要になるため、要注意です。また、散水栓と立水栓にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、交換する際はよく考えて検討することをおすすめします。
この記事では、散水栓と立水栓の違いや、立水栓に変更するための準備と手順、立水栓のメンテナンス方法についてご紹介します。
- 立水栓は屋外で手軽に水を使えるメリットがある一方、設置には十分なスペースが必要
- 立水栓は、水栓の用途や住んでいる地域に合わせて選ぶのがポイント
- コンクリートの破砕や排水工事が必要な場合は業者に依頼するのがおすすめ
散水栓と立水栓の違い
散水栓と立水栓はどちらも屋外で使用する水栓ですが、形状や使用方法に違いがあります。
散水栓とは
散水栓とは、地中に埋められたボックスの内部に設置されている水栓のことです。
使用時はボックスのフタを開け、水栓にホースを取り付けて蛇口をひねると水を出せます。通常は建物の出入口付近に設置されますが、スペースがあれば場所を自由に変更できます。
立水栓とは
立水栓とは、柱に蛇口が付いているタイプの水栓で、別名水栓柱とも呼ばれるものです。
地面に立てた柱状の水道管に蛇口が設置されるタイプが一般的ですが、製品によっては柱がなく、外壁や塀などから蛇口だけが飛び出ているデザインになっているものもあります。
ホースを取り付けられるのはもちろん、そのまま使用することも可能です。
それぞれのメリットとデメリット
散水栓のメリットは、蛇口やハンドルが地中に埋められているぶん、外観がスッキリしているところです。フタを閉めればその上を歩くことも可能なので、場所をとらないところが魅力です。
その反面、使用時はフタを開けてホースを取り付けなければならないため、やや手間が掛かります。家の周囲の掃除や洗車などには向いていますが、汚れた靴、おもちゃを洗いたいといったシーンにはあまり適さないところが難点です。
一方の立水栓は、柱の上部に蛇口が設置されており、かつホースを付けなくても使えるため、手洗いや洗い物などに利用しやすいところがメリットです。フタの開け閉めも必要ないため、さっと使える気軽さが大きな魅力でしょう。その反面、地中に埋もれている散水栓に比べると地上に一定のスペースが必要です。
また、蛇口や柱が剥き出しの状態になっているため、そばを通るときに邪魔にならないか、ボールや車が当たる心配はないかなどを考慮しながら設置場所を決める必要があります。
場合によっては現在散水栓がある位置に立水栓を設置できない可能性もあるため、「水栓の位置を変えたくない」という場合は注意しましょう。
立水栓に変更するための準備
散水栓を立水栓に変更するために必要な準備を、3つのポイントに分けて説明します。
必要な道具と材料
散水栓から立水栓に交換する際には、主に以下の道具が必要です。
- スコップ
- 塩化ビニール管
- 塩化ビニール管用接着剤
- 継手
- 蛇口
- パイプ用ノコギリ
- シールテープ
- セメント
- 砂
- 砂利
- 防草シート
- トロ舟
スコップは、散水栓のボックスを掘り起こすときに使用します。塩化ビニール管は立水栓の水道管として、継手はパイプ同士やパイプと蛇口をつなぐ際の部品としてそれぞれ使用します。
セメントと砂、砂利は立水栓を固定するためのコンクリート作りの材料となるものです。なお、砂利は排水用としても使用します。コンクリートを作るときは、トロ舟と呼ばれる大きな容器に材料を入れて攪拌します。
立水栓の選び方
立水栓を選ぶときは、まず柱の高さに注目しましょう。
立水栓本体の高さは一般的に1,200ミリメートルと900ミリメートルの2タイプがあり、立ったまま使える1,200ミリメートルは手洗いや庭の水やりなどに適しています。一方の900ミリメートルはしゃがんで使うので、おもちゃやペットなどを洗うときに向いています。
どちらを選ぶかは用途やニーズによって異なるため、利用シーンをイメージしながら選択しましょう。また、冬季に水道管が凍結しやすい地域なら、寒冷地仕様または不凍水栓柱の立水栓を選ぶことが大切です。
これらの立水栓には、水抜きハンドルが付属されているため、冷え込みが厳しいときにハンドルを操作すれば凍結を防止できます。
立水栓は、地中に埋まっている散水栓に比べ、水道管が地上に露出しているぶん凍結のリスクが高くなります。特に、家の北側や風が強く当たる場所に立水栓を設置する場合は、寒冷地仕様のものをチョイスした方がよいでしょう。
事前の確認事項
作業前には、立水栓を設置する場所や、水圧の確認を行いましょう。設置場所は、玄関付近やカーポートなど水を一番使う場所を選ぶのが基本です。
ただし、パンを含めて十分なスペースが必要であるため、メジャーなどで面積をきちんと計った上で設置に適しているかどうかチェックすることが大切です。
また、立水栓の蛇口は、口径が小さすぎると吐水量が減り、水圧が弱くなる可能性があります。特に、洗車や庭の水やりなどに使う場合は、蛇口の口径がやや大きめのものを選ぶとよいでしょう。
立水栓に変更する手順
散水栓を立水栓に変更する手順を4つのステップに分けて解説します。
散水栓を取り外す
散水栓ボックスは水栓を覆う形で設置されているため、スコップで周囲の土を掘って取り出します。
立水栓の設置
立水栓を設置する際の手順は以下のとおりです。
- 水道の元栓を閉める
- 散水栓から立水栓までパイプをつなげるための通り道を作る
- 既存の水道管が埋まっている位置の高さに合わせて掘ります。プラス5cmほど深めに掘ると作業しやすいでしょう。
- 散水栓に付属していた蛇口をパイプごとノコギリでカットする
- 残ったパイプと、用意していた塩ビ管を継手と接着剤を使ってつなぐ
- カットした水道管と塩ビ管を継手・接着剤を使って接続します。接続が甘いと水漏れの原因になるので気を付けましょう。
- 3で作った通り道にパイプを通し、上から土を掛ける
- 立水栓を設置する場所に穴を掘る
- 立水栓から出た水を自然排水させる方法です。
- 穴に防草シートを敷き、上から砂利を敷き詰める
- 少々水を使うだけならこの方法で十分ですが、大量の水を使う場合はガーデンパン(水受け)を使用し、そこから排水管につなげる必要があります。
- 蛇口のネジ山にシールテープを巻き付ける
- ネジ山にシールテープを巻くときは、時計回りに、隙間なくぴっちり巻き付けていくのがポイントです。シワや隙間が生じると水漏れの原因になるので注意しましょう。
- 立水栓にパイプと蛇口を取り付ける
- セメント、砂、砂利をとろ舟に入れて攪拌し、コンクリートを作る
- バケツを使用し、セメント1:砂3:砂利6の比率で材料をとろ舟に入れて混ぜます。最初にセメントと砂を入れて空練りし、次に砂利を加えてさらに空練りした後、水を少しずつ加えてスコップですくっても流れ落ちない程度の硬さまで練り上げましょう。
- 立水栓の根元にコンクリートを流して固める
- 元栓を開ける
できあがったモルタルを立水栓の周囲に流し込み、乾くまで放置します。
施工時の注意点と対処法
立水栓の施工時の注意点は大きく分けて2つあります。
まず1つ目は、散水栓ボックスの周囲がコンクリートで固められている場合です。このケースでは、スコップでボックスを掘り起こせないため、既存のコンクリートを破砕する必要があります。コンクリートを砕くには、コンクリートカッターや電動ハンマーといった専用の道具を用意しなければならない上、かなりの重労働かつリスクをともなう作業になるため、難しいと思ったらプロの業者に依頼した方がよいでしょう。
2つ目は、排水の必要性です。前述のとおり、少々水を使うだけなら防草シートや砂利を使った自然排水で事足りますが、ペットを洗うなど大量の水を使う場合、水はけが悪いと立水栓の周囲が水浸しになってしまうおそれがあります。その場合は、ガーデンパンを排水管につなぐための排水工事が必要であるため、プロに作業を依頼しましょう。
施工後の確認事項
立水栓を設置したら、問題なく通水されるかチェックしましょう。また、水を流したとき、足元が水浸しにならないかどうかも確認します。
水はけが悪い場合は、穴をより深く掘って砂利を多めに入れるか、前述した排水管工事を検討することをおすすめします。
立水栓のメンテナンス方法
立水栓を長く利用するためには、日頃からメンテナンスをきちんと行っておく必要があります。ここでは、立水栓の基本的なメンテナンス方法について説明します。
定期的な掃除と点検
立水栓は屋外に設置されているので、雨風や排ガスなどの影響を受けやすい傾向にあります。汚れをそのまま放置していると、見た目が悪くなるだけでなく、サビや腐食が生じて寿命が縮まる原因となるため、季節の変わり目などを目安に定期的に掃除を行いましょう。
軽い汚れなら、柔らかいブラシやスポンジなどを使って水洗いすれば落とせます。汚れがひどい場合は、水で薄めた中性洗剤をブラシやスポンジに含ませ、擦り洗いした後に水ですすぎましょう。
また、掃除後は蛇口や柱に歪みやヒビ、がたつきなどが生じていないかどうかを点検しておきます。早めに異常を見つけて補修すれば、水漏れなどの被害を未然に防ぐことが可能です。
水漏れの対策方法
立水栓の水漏れの主な原因は、パッキンまたはシールテープの劣化と、ナットの緩みです。
パッキンは、吐水口がある部分のパイプや、レバーまたはハンドルの付け根などにあるため、ある程度の年数が経過したら新しいものに交換しましょう。
同じく、蛇口の接続部分に巻き付けたシールテープも、劣化するとシワ・隙間・亀裂などが生じてくるので、古いテープを剥がして新たに巻き直す必要があります。テープを巻き直す際に古いテープが残っていると隙間が空く原因になるため、テープの破片が残らないようきちんと処理することが大切です。
一方、ナットの緩みについてはモンキーレンチで締め直せばすぐに対処できます。
冬季の凍結防止策
立水栓は屋外にあるため、屋内の水栓よりも凍結のリスクが高くなります。一般的に、気温がマイナス4度を下回ると水道管が凍結する危険性があるといわれているため、冷え込みが厳しいときは凍結防止策を講じましょう。
具体的には、柱や蛇口の部分にタオルや断熱材などを巻き付けて保温する。水を細く出し続けるなどの方法が有効です。
なお、寒冷地仕様や不凍水栓柱の場合は、水抜きハンドルを操作すれば配管の中の水を抜くことができます。ただし、水を抜くタイミングが遅いと凍結してしまうため、気温をチェックして早めに対策を行うようにしましょう。
それほど頻繁に立水栓を使用しないという場合、冬季中は基本的に水を抜いておき、使用時のみ通水するという方法もあります。
よくある質問(FAQ)
立水栓についてよくある疑問・質問をまとめました。
立水栓に変更する費用はどれくらいかかる?
立水栓本体は、ホームセンターやインターネット通販などで約2万円~5万円の価格帯で販売されています。ただし、立水栓とは別に、蛇口・塩ビ管・接着剤・コンクリートの材料などを加えるとさらに材料費がかさむでしょう。
一方、業者に依頼した場合は作業料がプラスされるため、5万円~15万円くらいがおおよその相場とされています。
自分で変更するのが難しい場合はどうする?
散水栓から立水栓の交換には、いろいろな材料を揃えたり、大がかりな作業を行ったりしなければなりません。
元々DIYに慣れている方なら比較的スムーズに作業できるかもしれませんが、そうでない場合はかなりの手間と時間が掛かってしまいます。
また、取り付けに不具合が生じた場合は、水が出ない、水が漏れるといったトラブルが起こる可能性もあります。施工のやり直しが必要になることもあるでしょう。
自力で変更するのが難しいと感じたら、専門の業者に依頼することをおすすめします。
立水栓の設置場所の選び方は?
立水栓は、水を最も使う場所に設置するのが一般的です。例えば、洗車に使いたいのならカーポートの近く、汚れや靴やペットを洗いたいのなら玄関の近くなどです。
ただし、元の散水栓から離れた場所に設置しようとするとパイプを長く延長しなければならないため、余計に手間が掛かってしまいます。また、立水栓の設置にはある程度のスペースが必要なので、諸々の条件に適した場所をじっくり検討しましょう。
まとめ
散水栓から立水栓への交換は、工具や材料を揃えれば自力で行うことも可能です。ただし、ご自分で溝や穴を掘ったり、立水栓を固定するためのコンクリートを準備したりするのは、かなりの手間と時間が掛かります。
また、配管の接続に不備があったり、排水がうまくいかなかったりすると、水漏れや水浸しなどのトラブルが起こる可能性もあります。自力で交換するのは難しい、不安だと感じたら、プロの業者に交換作業を依頼した方がよいでしょう。
なお、立水栓に交換した後は、定期的な清掃や点検、水漏れ・凍結対策をしっかり行うことが大切です。