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自分で混合水栓を交換する方法とポイントを解説
混合水栓とは、一つの蛇口からお湯と水を同時に出せる水栓のことで、キッチンやお風呂、洗面所などによく用いられているものです。水またはお湯のどちらか一方しか出せない単水栓に比べると複雑な構造をしていますが、必要な工具と正しい手順を押さえておけばご自分で交換することも可能です。
水栓の寿命は一般的に約10年とされているので、本格的な不具合や故障が現れる前に交換することをおすすめします。
本記事では混合水栓の主な種類と特徴、交換する手順と注意点について分かりやすく解説します。
- 混合水栓は同じ種類のものを取り付けるのが基本
- 作業前には止水栓または元栓を閉め、周囲を養生する
- シールテープを使用する場合は、巻く回数や向きに注意
混合水栓の基本的な種類と特徴
混合水栓は設置の仕方によって大きく4つの種類に区分されます。
混合水栓を交換する際は、原則として古いものと同じタイプの水栓を取り付ける必要があるので、それぞれの種類と特徴をよくチェックしておきましょう。
壁付タイプ
壁に水栓を取り付けるもので、お風呂場やキッチンなどによく用いられるのが壁付タイプです。壁付タイプの種類はさらに形状によってクランク取付型、ソケット取付型、埋め込み型の3つに区分されています。
クランク取付型は、給水管にクランクと呼ばれる偏芯管を取り付けてから水栓本体を接続するもので、壁付混合栓で最も多い種類となっています。
一方、ソケット取付型は、給水管にソケットを取り付けてから水栓本体を接続するものです。ソケットは直管なので、給水管・給湯管は水栓本体に合わせて取付幅を調整する必要があります。
三つ目の埋め込み型は、吐水部や止水部といった水栓の主要パーツを壁内に埋め込み、同じ苦壁内にある給水管に接続するものです。壁内に埋め込むぶん、表に出てくる面積が少ないので、すっきりした外観になります。
ただ、他のものより点検・修理に手間が掛かるため、壁内に止水栓を設置し、壁に点検のための入口を設けるなどの工夫が必要です。
壁付水栓はその形状上、根元に水が溜まる心配がないので手入れが楽チンなところが特徴ですが、現在の一般的な住宅は床下に配管があるため、近年は壁付水栓を導入するケースは減ってきています。
台付タイプ
カウンター(台)に取り付けるものです。水栓自体に天板がなく、取付穴が1つのものはワンホールタイプと呼ばれており、後述する2つ穴のデッキタイプとは区別されます。
ワンホールはシステムキッチンに多用されており、一つのレバーで温度や吐水量を調節するシングルレバーが主流です。
デッキタイプ
横長の天板が付いており、取付穴が2つあるものです。前述したワンホールタイプに対し、ツーホールタイプとも呼ばれています。取付場所はキッチンの他、お風呂場や洗面台などさまざまです。
デッキタイプを取り付ける際は、設置場所に空いた2つの穴の距離と、水栓の2つの穴の距離が一致している必要があります。
洗髪シャワータイプ
蛇口とレバーがそれぞれ独立している水栓です。蛇口はヘッド部分が伸びる仕組みになっており、ボタン操作で吐水を直流とシャワーに切り替えられるところが特徴です。
主に洗面台に多用されており、取付穴は蛇口とレバーの2つありますが、同じ二つ穴だからといって、そのままツーホールタイプを取り付けられるわけではないので注意しましょう。
混合水栓を交換する手順
混合水栓を交換する手順は、水栓の種類によって異なります。
ここでは水栓の種類ごとの交換手順を説明します。
共通の準備と注意点
混合水栓の種類にかかわらず、交換作業を始める際は以下の準備を行いましょう。
- 止水栓または元栓を閉める
- 周囲をビニールシートなどで養生する
- モンキーレンチ、タオル、使い古しの歯ブラシ、プラスドライバーなどを用意する
作業中は水漏れ防止のため、必ず止水栓を閉めて給水を止めておきます。止水栓が見当たらない場合は、元栓を閉めてから作業しましょう。
なお、止水しても配管に残った水が流れ出てくることがあるので、周囲をビニールシートで養生した上で、タオルや雑巾なども準備しておきます。使い古しの歯ブラシは、古い蛇口を外した後、取付部の汚れなどを清掃するためのものです。
共通する工具としてはモンキーレンチ、プラスドライバーを準備しますが、その他にも種類や状況に応じてマイナスドライバーやシールテープなどを使うこともあります。
以上の準備や注意点を前提として、ここからは水栓の種類ごとの交換手順を説明します。
壁付タイプの交換手順
壁付タイプには複数の種類がありますが、最も一般的なクランク取付型の交換手順は以下のとおりです。
- 固定ナットを緩め、古い水栓を取り外す
- クランクを回して外す
- 使い古しの歯ブラシで給水管の周辺を掃除する
- 新しいクランクを一度取り付け、回転数と高さを確認する
- 新しいクランクにシールテープを巻き付ける
- クランクを4で確認した回転数-1回分だけ回して取り付ける
- 水栓本体を取り付ける
3では、汚れが残っていると隙間ができて水漏れする原因になるので、きれいに清掃しましょう。4では何回転で固定されるか回数を確認し、6ではその回転数より1回少ない数だけ回します。1回転減らすのは、シールテープを巻き付けるぶんだけクランクが太くなるからです。
また、このとき2つのクランクが同じ高さになっているかどうかもチェックしておきましょう。高さが揃っていないと水栓本体を真っ直ぐ取り付けることができないので、別途調節用アダプターを接続して調節する必要があります。
なお、5のシールテープは大体8~13回程度を目安に、ぴっちりと隙間なく巻き付けるのがポイントです。
台付タイプの交換手順
台付タイプの交換手順は以下のとおりです。
- 固定ナットを外す
- 水栓の根元のナットを緩め、台座ごと水栓本体を取り外す
- ナットを緩め、古い止水栓の逆止弁を取り外す
- 新しい水栓の台座を取り付ける
- 台座の上に新しい水栓本体を取り付ける
- 新しい逆止弁を取り付ける
- 逆止弁に給水ホースを取り付ける
- シャワー側の給水ホースと水栓をつなげる
給水ホースのナットと逆止弁の脱着にはモンキーレンチを使用しますが、水栓本体の脱着には六角レンチ(製品によってはドライバー)を使用します。
また、台座の固定方法は製品によって異なるので、取扱説明書に従って取り付けましょう。7の給水ホースはお湯用・水用の2つがあるので、間違わないように注意します。
デッキタイプの交換手順
デッキタイプの交換手順は以下のとおりです。
- 点検口を開ける
- 止水栓の下にある固定ナットを緩め、水栓本体を取り外す
- 新しい止水栓をセットし、点検口のなかからナットで固定する
- 止水栓に水栓本体を取り付ける
- カバーを被せる
1の点検口は、お風呂場なら浴槽の側面か浴室の壁、キッチンならシンク下の壁などに設置されているケースがほとんどです。四隅がネジで留められている四角いフタがはめられているので、ドライバーでネジを緩めて開きましょう。
洗髪シャワータイプの交換手順
洗髪シャワータイプの交換手順は以下のとおりです。
- 給水管の固定ナットを外す
- 台の下にあるナットを緩めて台座を外す
- 水栓本体とレバーを取り外す
- 古い逆止弁を外し、新しいものと交換する
- 台の上に水栓本体とレバーを取り付け、台の下側からナットで固定する
- 逆止弁に給水ホースを取り付け、クリップとキャップで固定する
- シャワーホースをレバー側のホースとつなげる
4では、古い逆止弁用の専用パーツが取り付けられていることがあります。新しい逆止弁の取り付けには不要なものなので、あればまとめて取り外しておきましょう。
混合水栓の交換時の注意点とポイント
混合水栓を交換する際に気を付けたいポイントを2つご紹介します。
適切なサイズを選ぶ
交換する混合水栓は、取り付ける穴の大きさや、穴同士の距離に合わせて選ぶ必要があります。
例えば、ツーホールのデッキタイプの場合、取り付け穴のサイズは33~39mm、穴同士の距離は203mmです。ほとんどのメーカーで共通していますが、一部のメーカーでは取り付け穴が55mmのものもあります。55mmの穴に33~39mmサイズの水栓を取り付けるには、水栓穴変換アダプターという部品を使用して取り付け穴を調節する必要があります。
また、穴同士の距離は各メーカー共通ですが、ワンルームアパートなどに設置されているミニキッチンの場合は102mmと約半分の距離になっています。
取り付け穴のサイズに合わない、あるいは距離が足りないor長すぎるなどの問題が発生すると、混合水栓を取り付けることができないので、適切なサイズの製品を選ぶようにしましょう。
シールテープの使用
壁付タイプの混合水栓の場合、雌ネジに雄ネジを差し込んで取り付けるため、どうしても隙間ができやすくなります。その隙間を埋めるために使用するのがシールテープですが、巻き方が甘いと本来の効果を発揮できず、隙間から水が漏れてくることがあります。そのため、シールテープは正しい方法で、慎重に巻くことが大切です。
- テープを巻く部分をきれいにする
- 時計回りに巻く
- ネジ山を1山だけ残して巻き始める
- 巻き終わりにテープをネジ山になじませる
- 取り付け時に誤って反対側にねじってしまった場合は一からやり直す
1では、テープに水分や油分が付いていると粘着力が弱くなるので、タオルや布などを使ってきれいに拭いておきます。
2では、ネジ山全体をテープで覆ってしまうと、配管内にテープの切れ端が混入したり、スムーズに取り付けられなくなったりする原因となります。あえて一山だけ残した状態で巻き始めるようにしましょう。
巻き終わったら、指や爪などを使ってテープをネジ山になじませると、より密着力が高まります。
テープを巻き終えたら、配管に差し込んで時計回りに回転させて取り付けますが、このとき、一度でも反時計回りにしてしまうとテープにシワや隙間が生じてしまいます。そのまま取り付けると水漏れのリスクが高くなるので、面倒でもテープを剥がし、一から巻き直しましょう。
自分で交換できない場合は業者に依頼しよう
混合水栓は工具を準備し、正しい手順で行えばDIYで交換可能です。しかし、作業の手順や部品の取り扱いを誤ると、パーツが破損したり、水漏れを起こしたりする原因となります。
「取り付けに自信がない」「やり方がいまいち分からない」という不安がある方は、無理をせず業者に依頼して交換してもらいましょう。業者なら迅速かつ正確に水栓を取り付けてもらえるのはもちろん、製品選びのアドバイスもしてくれるので、サイズ間違いによる失敗も防げます。
ただ、取り扱い商品は業者によって異なるので、希望がある場合は事前に問い合わせるとよいでしょう。
混合水栓の交換に関するよくある質問(FAQ)
混合水栓の交換について、よくある疑問・質問をまとめました。
混合水栓の交換に必要な工具は何ですか?
基本的な工具として、モンキーレンチやプラスドライバーが必要となります。取り付ける水栓の種類によっては、さらに六角レンチが必要になることもあるので、あらかじめ手順を確認し、必要な工具を揃えておきましょう。
交換作業にどのくらいの時間が掛かりますか?
混合水栓の交換作業に掛かる時間はおよそ1時間程度とされています。ただし、DIYに慣れていない方や、手順を正しく理解できていない場合は、2時間以上掛かってしまうこともあります。
迅速かつ正確に交換したいのなら、プロの業者に依頼した方がよいでしょう。なお、業者に依頼した場合の所要時間は30分~1時間程度です。
混合水栓の交換費用はどのくらいですか?
混合水栓の交換を業者に頼んだ場合の費用は、水栓の種類やオプション工事の有無などによって異なります。
シャワーなしなどシンプルな水栓であれば、3~4万円程度で済むこともありますが、シャワーありや浄水器付き、タッチレスなどの機能が付いた水栓を選んだ場合は本体の費用が上乗せされて割高になります。
また、変換アダプターを使用したり、取り付け穴の拡大を行ったりした場合は、別途3,000~5,000円程度のオプション工事費が加算されるので注意しましょう。
まとめ
混合水栓には壁付、台付、デッキ、洗髪シャワーなどさまざまなタイプがありますが、いずれも工具を揃えればご自分で交換することが可能です。混合水栓の取り付け方は種類によって違いがあるので、自宅に取り付ける水栓の型を確認した上で、それぞれの交換の仕方をチェックすることが大切です。
なお、取り付け方を誤ると水がうまくでなかったり、水漏れが発生したりする原因となります。作業に不安がある方や、ご自分に適した混合水栓の種類が分からないという場合は、プロの業者に作業を依頼することをおすすめします。