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アパート給湯器の故障でお湯が出ない!連絡先・費用負担・期間は?

アパートの給湯器が突然故障して、お湯が出なくなってしまった…。冬場なら死活問題ですし、夏場でもシャワーが浴びられないのは本当に困りますよね。こんな時、「誰に連絡すればいいの?」「修理費用は誰が払うの?」「お風呂に入れない間、どうすればいいの?」といった疑問や不安が次々に浮かんでくることでしょう。

このページでは、アパートにお住まいの方が給湯器の故障に直面した際に知っておくべき、正しい対処法、修理費用を負担するのは誰なのか、修理期間中の生活はどうなるのか、大家さんや管理会社が対応してくれない場合の対処法まで、賃貸物件の給湯器故障に関するあらゆる疑問にお答えします。これを読めば、予期せぬトラブルにも冷静に対応できるはずです。

目次

アパート給湯器の故障|まず確認すべきこと

給湯器が動かない、お湯が出ないといった状況になったとき、すぐに「故障だ!」と慌てる前に、まずはいくつかの基本的な点を確認してみましょう。一時的な問題であることも少なくありません。

本当に故障?よくある原因とお湯が出ない時のチェックリスト

給湯器の不調の原因は、必ずしも本体の故障とは限りません。自分で簡単に確認できる項目をチェックしてみましょう。

  • ガス栓・元栓は開いていますか?
    ガスメーター付近にあるガス栓や、給湯器本体の下部にあるガス配管の元栓が閉まっていると、ガスが供給されずお湯は出ません。引っ越し直後や、ガス点検後にうっかり閉めてしまったというケースがあります。
  • 電源(ブレーカー)は入っていますか?
    給湯器の電源は、多くの場合、家の分電盤にある専用のブレーカーに接続されています。そのブレーカーが落ちていないか確認しましょう。また、給湯器本体にコンセントがある場合は、それがしっかり差し込まれているか、抜けていないかも確認が必要です。落雷や停電の後などにブレーカーが落ちることがあります。
  • 給湯器リモコンの電源は入っていますか?
    台所やお風呂場にある給湯器のリモコンの電源が入っているか確認してください。リモコンの電源が入っていないと、給湯器は作動しません。誤って電源を切ってしまっている可能性があります。また、エラーコードが表示されている場合は、そのコードをメモしておきましょう。取扱説明書やメーカーのウェブサイトでエラーコードの意味を調べると、原因が特定できることがあります。
  • 水は出ますか?
    水栓から水自体は問題なく出るか確認します。水が出ない場合は、給湯器の問題ではなく、断水や水道設備の不具合の可能性があります。
  • 他の蛇口からお湯は出ますか?
    特定の蛇口だけお湯が出ないのか、家中のどこからもお湯が出ないのかを確認します。特定の蛇口のみの場合は、その蛇口や配管の問題かもしれません。
  • 凍結の可能性はありませんか?
    特に冬場、外気温が氷点下になると、給湯器本体や配管内の水が凍結してお湯が出なくなることがあります。この場合、気温が上がれば自然に復旧することもありますが、無理にお湯を出そうとせず、自然解凍を待つか、凍結防止対策を確認する必要があります。給湯器には凍結防止機能が付いていることが多いですが、古い機種や設定によっては不十分な場合もあります。凍結が疑われる場合は、給湯器メーカーや専門業者に相談しましょう。自分で熱湯をかけるなどの行為は、機器の破損につながるため絶対に行わないでください。

これらのチェック項目を確認しても改善しない場合、給湯器本体の故障である可能性が高まります。次のステップに進みましょう。

賃貸借契約書で確認すべき事項(修繕義務、費用負担特約)

給湯器の故障は、賃貸物件における「設備の修繕」にあたります。賃貸物件の設備に関する取り決めは、通常、賃貸借契約書に詳細が記載されています。給湯器の故障を大家さんや管理会社に連絡する前に、一度契約書を確認しておくことが非常に重要です。

契約書で特に確認すべきは以下の点です。

  • 修繕義務に関する条項: 一般的に、民法では貸主(大家さん)に賃貸物件を借主(入居者)が使用できる状態に維持する修繕義務があると定められています(民法第606条)。給湯器のような主要設備は、通常この修繕義務の対象となります。契約書にこの義務に関する条項が記載されているか確認しましょう。
  • 設備に関する特約: 契約書には、特定の設備(給湯器、エアコン、照明器具など)に関する特別な取り決め(特約)が記載されている場合があります。例えば、「消耗品の交換費用は借主負担とする」「○○万円以下の修繕は借主負担とする」といった特約です。ただし、給湯器本体の故障のような高額な修理・交換にまで入居者が一方的に負担させられるような特約は、消費者契約法により無効となる可能性があります。しかし、まずは契約書にそのような特約がないか確認しておくことが大切です。
  • 設備のリスト: 契約時に「設備リスト」のようなものが添付されている場合があります。そこに給湯器が含まれているか確認し、備え付けの設備であることを改めて認識しましょう。
  • 連絡先: 故障や不具合が発生した場合の連絡先(大家さんの連絡先、管理会社の連絡先、指定の修理業者など)が契約書や重要事項説明書に記載されています。スムーズな連絡のために、事前に確認しておきましょう。

賃貸借契約書は、大家さんと入居者の権利義務を定めた最も重要な書類です。給湯器の故障だけでなく、今後何かトラブルがあった際にも必要になりますので、どこに保管しているか把握しておきましょう。

アパート給湯器故障時の正しい連絡手順

自分でできる確認を終え、給湯器本体の故障の可能性が高いと判断したら、速やかに大家さんまたは管理会社に連絡しましょう。正しい手順で連絡することが、迅速な修理・交換につながります。

連絡先(大家さん・管理会社)

連絡先は、前述の通り賃貸借契約書や重要事項説明書に記載されています。

  • 管理会社がいる場合: 多くの賃貸物件では、大家さんから管理を委託された管理会社が窓口となります。契約書に管理会社の連絡先が記載されている場合は、まず管理会社に連絡しましょう。管理会社は修繕の手配などを代行してくれます。
  • 大家さんに直接連絡する場合: 管理会社がおらず、大家さんと直接契約している場合は、大家さんに連絡します。契約書に記載された電話番号やメールアドレスに連絡しましょう。
  • 夜間・休日の対応: 緊急の場合や、連絡先が不明な場合、夜間・休日で管理会社や大家さんと連絡が取れない場合は、契約書に緊急連絡先が記載されていないか確認しましょう。指定の緊急対応業者や、保険会社のロードサービスのような付帯サービスがある場合もあります。ただし、緊急連絡先は水漏れなど緊急性の高いトラブルに限られる場合もあるため、お湯が出ないだけの場合は、まずは通常の連絡先に連絡し、受付時間内に改めて連絡するのが一般的です。お湯が使えないことは生活に大きな支障をきたすため、多くの場合、緊急対応に近い扱いとなります。

連絡手段は、電話が最も確実です。電話で状況を伝えた上で、念のためメールやメッセージアプリでも連絡内容を残しておくと、後々の記録として役立ちます。

伝えるべき内容(症状、給湯器の型番など)

大家さんや管理会社に連絡する際は、以下の情報を正確かつ具体的に伝えることが重要です。これにより、状況が正確に伝わり、修理業者の手配や部品の発注などがスムーズに進みます。

  • 氏名・部屋番号: 誰からの連絡か、どこの部屋で発生しているかを明確に伝えます。
  • 発生日時: いつからお湯が出なくなったか、具体的な日時を伝えます。
  • 具体的な症状:
    • まったくお湯が出ないのか、少しだけ出るがすぐに水になるのか。
    • リモコンにエラーコードが表示されているか(表示されている場合はコード番号を伝える)。
    • 給湯器本体から異音や異臭がしないか。
    • 水漏れなど、その他の異常はないか。
  • 自分で試したこと: ガス栓、ブレーカー、リモコンなどを確認したか伝えると、担当者も状況を把握しやすくなります。
  • 給湯器の情報:
    • メーカー名
    • 型番(品番)
    • 製造年(可能であれば)

給湯器のメーカー名や型番は、給湯器本体に貼ってあるシールに記載されていることが多いです。故障で混乱しているかもしれませんが、これらの情報を事前に写真に撮っておくなどして控えておくと、連絡時にスムーズに伝えられます。

給湯器本体の情報が記載されている場所の例

  • 本体の前面または側面に貼られたシール
  • 取扱説明書
  • リモコン

正確な情報を伝えることで、大家さんや管理会社は適切な修理業者を選定したり、必要な部品を準備したりすることができます。これにより、修理・交換にかかる時間を短縮できる可能性が高まります。

給湯器の修理・交換費用は誰が負担する?【原則と例外】

賃貸物件の給湯器が故障した場合、「修理費用は一体誰が負担するのだろう?」と不安になりますよね。ここでは、費用負担に関する基本的なルールと、例外となるケースについて解説します。

原則は大家さん(貸主)の費用負担

前述の通り、民法第606条により、貸主(大家さん)は賃貸物件を借主(入居者)が契約の目的に従って使用できるように修繕する義務を負っています。給湯器は賃貸物件の重要な設備であり、通常、この修繕義務の対象となります。

したがって、給湯器が自然に劣化したり、通常の使用によって寿命を迎えたりして故障した場合の修理・交換費用は、原則として大家さんの負担となります。これは、大家さんが物件を貸し出す上で、設備を常に使用可能な状態に維持管理する責任があるためです。

大家さんは、入居者から賃料を得る代わりに、建物の構造や設備の維持管理を行う義務を負っています。給湯器の故障は、大家さんが負うべき「維持管理費用」の一環として考えられます。

入居者が費用負担となるケース(故意・過失の場合)

原則として大家さん負担ですが、例外的に入居者が費用負担となるケースがあります。それは、給湯器の故障の原因が入居者の故意または過失によるものである場合です。

「故意」とは、わざと給湯器を壊した場合です。このようなケースは少ないでしょう。

「過失」とは、不注意や間違った使い方によって故障させてしまった場合です。具体的には以下のようなケースが考えられます。

  • 誤った操作や不注意: 給湯器の取扱説明書に記載された正しい使用方法を守らなかったことによる故障。例えば、空焚きをしてしまった、対応していない入浴剤を使用した、など。
  • 不適切な掃除や手入れ: メーカーが推奨しない方法で掃除をしたり、無理な手入れをしたりしたことによる故障。
  • 改造や不当な修理: 大家さんの許可なく給湯器を改造したり、無資格の業者に不当な修理を依頼したりしたことによる故障。
  • 報告義務の怠慢: 給湯器に異常(異音、水漏れなど)があることに気づいていたにもかかわらず、大家さんや管理会社に報告せず放置した結果、故障が悪化した場合。早期に報告していれば軽微な修理で済んだ可能性が高い場合などです。
  • 本来の使用目的以外での使用: 給湯器を本来の用途以外で使用したことによる故障。
  • 入居者の引っ越しや作業中に破損: 引っ越し作業中や、入居者が手配した別の工事などで誤って給湯器を破損させてしまった場合。

これらのケースでは、入居者の責任が問われ、修理・交換費用の全部または一部を入居者が負担することになる可能性があります。ただし、給湯器の故障原因が入居者の故意や過失によるものであることは、原則として大家さん側が証明する必要があります。

特約で負担割合が変わる可能性

前述の「賃貸借契約書で確認すべき事項」でも触れましたが、賃貸借契約書に設備の修繕に関する特別な取り決め(特約)が記載されている場合、その特約が優先されることがあります。

例えば、「給湯器の小規模な修理費用(〇〇円以下)は借主が負担する」といった特約です。このような特約は、借主にとって一方的に不利にならない範囲であれば有効と判断されることがあります。

しかし、給湯器本体の交換費用のような高額な修繕費用について、「一切借主が負担する」といった特約は、入居者にとってあまりにも一方的に不利であるとして、消費者契約法によって無効と判断される可能性が高いです。なぜなら、賃貸契約の目的は物件を借りて居住することであり、そのために必須である給湯器のような重要設備の維持管理義務を一方的に入居者に負わせることは、信義則に反する(社会通念上不当である)と考えられるためです。

契約書に特約が記載されている場合でも、その内容が法的に有効かどうかの判断は専門家(弁護士など)に委ねるべきケースもあります。まずは契約書を確認し、不明な点があれば大家さんや管理会社に問い合わせるか、必要に応じて専門家に相談しましょう。

費用負担の原則と例外のまとめ

原因 費用負担の原則 備考
自然劣化、経年劣化、寿命 大家さん(貸主) 民法上の貸主の修繕義務。通常の使用による劣化。
入居者の故意・過失 入居者(借主) 不注意な使用、誤操作、報告義務の怠慢など。大家さん側が証明が必要。
契約書に特約がある場合 特約による 特約の内容が優先されることがある。ただし、一方的に不利な特約は無効。
原因不明の場合 大家さん(貸主) 原因が特定できない場合は、通常の使用による故障とみなされることが多いため。

給湯器の故障原因によって費用負担が変わる可能性があるため、大家さんや管理会社への連絡時には、症状や自分で試したことなどを正確に伝え、原因特定に協力することが大切です。

修理・交換期間中の生活費(銭湯代・ホテル代)や家賃はどうなる?

給湯器が故障してお湯が使えない期間は、日常生活に大きな支障が出ます。特に冬場は深刻です。この間にかかる費用や家賃について、どうなるのでしょうか?

銭湯代やホテル代の請求は可能?

給湯器が故障し、お湯が使えない状態が続く場合、入居者は銭湯を利用したり、状況によってはホテルに一時的に避難したりすることを検討するかもしれません。これらの費用を大家さんや管理会社に請求できるのでしょうか?

法的には、大家さんが修繕義務を履行しない(または履行が遅れる)ことによって入居者に損害が発生した場合、その損害の賠償を請求できる可能性があります(民法第415条)。給湯器の故障によりお湯が使えない状態は、物件の「使用収益できない状態」にあたり、大家さんの修繕義務の履行遅延とみなされる可能性があります。

この場合の損害として、銭湯を利用した費用や、やむを得ずホテルに宿泊した費用などが該当しうる、と考えることができます。ただし、これらの費用が法的に認められる「損害」として賠償の対象となるためには、以下の点が重要になります。

  • 必要性・相当性: 銭湯の利用やホテルの宿泊が、給湯器がない状態で生活を維持するために「必要かつ相当な範囲」であること。例えば、毎日高級ホテルのスイートルームに泊まった費用を全額請求するのは難しいでしょう。
  • 大家さんへの報告・催促: 大家さんや管理会社に給湯器の故障を速やかに報告し、修繕を求めたにもかかわらず、大家さん側の都合や手配の遅れによってお湯が使えない期間が長期化した、という経緯があること。
  • 事前の相談・合意: 可能であれば、銭湯やホテルを利用せざるを得ない状況であること、それにかかる費用を負担してもらえるかについて、事前に大家さんや管理会社に相談し、合意を得ておくことが最もトラブルを防ぐ方法です。無断で高額な費用をかけて後から請求しても、認められない可能性があります。

結論として、銭湯代やホテル代の請求は可能性はありますが、必ずしも全額認められるわけではありません。大家さんの修繕義務の遅延が原因であること、費用が必要最低限であること、そして可能であれば事前に大家さんと相談することが成功の鍵となります。まずは、状況を丁寧に説明し、相談を持ちかけてみましょう。

家賃減額は交渉できる?

給湯器が故障してお湯が使えない状態は、物件の基本的な機能を損なっている状態です。このような場合、入居者は家賃の減額を交渉できる可能性があります。

民法第611条では、賃借物の一部が賃借人の過失によらずに使用できなくなった場合、その使用できなくなった部分の割合に応じて、当然に賃料の減額請求ができると定められています(改正民法では、減額請求をしなくても当然に減額されると解釈されています)。給湯器は生活に必須の設備であり、その全部が使用できない状態は、物件の「一部が使用できない」状態にあたると考えられます。

家賃の減額割合は、使用できなくなった部分の割合や重要性によって判断されます。給湯器は生活において非常に重要な設備であるため、家賃の数割程度の減額が認められる可能性があります。ただし、具体的な減額割合については、法律で一律に定められているわけではなく、物件の状況、お湯が使えない期間の長さ、他の設備の使用可否などを考慮して個別に判断されます。過去の裁判例なども参考にされることがあります。

家賃減額を交渉する際は、以下の点を踏まえましょう。

  • 家賃のいつからいつまで減額を求めるか: お湯が出なくなった時点から、お湯が使えるようになるまでの期間の家賃について減額を求めます。
  • どの程度の割合の減額を求めるか: 具体的な減額率を提示します。相場観が分からない場合は、まずは大家さんと話し合ってみましょう。
  • 書面での交渉: 口頭だけでなく、家賃減額を求める旨と理由、希望する減額率や期間などを記載した書面(内容証明郵便など)で通知すると、交渉の記録となり、相手にも真剣さが伝わります。
  • 合意が難しい場合: 大家さんと減額について合意が難しい場合は、前述の公的機関(弁護士会、消費者センター、住宅紛議審査会など)に相談することを検討しましょう。

ただし、給湯器の故障からすぐに修理が完了し、お湯が使えない期間が数日程度であれば、家賃減額の交渉までは難しい場合もあります。一般的には、1週間以上など、生活への影響が無視できない期間が続いた場合に交渉の余地が生まれると考えられます。

損害賠償(迷惑料)は請求できる?

給湯器の故障によってお湯が使えず、不便な生活を強いられたことに対する精神的な苦痛(いわゆる「迷惑料」や「慰謝料」)を大家さんに請求できるか、という疑問も生まれるかもしれません。

法的に認められる損害賠償は、通常、故障によって直接的または間接的に発生した「財産的な損害」に限られます。例えば、銭湯代や、どうしてもお湯が必要で買って使った費用などがこれにあたります。

一方、精神的な苦痛に対する慰謝料は、生命や身体の侵害、名誉毀損など、権利侵害の度合いが非常に大きい場合に認められるのが一般的です。単に設備が使えないことによる不便さに対して、裁判所が慰謝料の支払いを命じるケースは極めて稀です。

したがって、「お湯が出なくて辛かった」「不便で迷惑した」といった理由で、精神的な苦痛に対する損害賠償(迷惑料)を請求することは、法的には難しいと考えられます。

ただし、大家さんや管理会社との交渉の際に、「お湯が出なくて本当に困りました。銭湯に行く費用もかかり、精神的にも大きな負担でした」といった形で、不便さや苦労を伝えることは、家賃減額や銭湯代などの実費負担に関する交渉を有利に進めるための心理的な要素となりうるかもしれません。法的な請求権としての慰謝料は難しくても、話し合いの中で「迷惑をかけた」という点を考慮してもらうことは可能です。

あくまで法的な請求権としては、「必要かつ相当な範囲の実費(銭湯代など)」や「お湯が使えない期間の家賃減額」を求めるのが現実的です。

大家さんや管理会社が「直してくれない」「修理が遅い」場合の対処法

給湯器が故障したことを大家さんや管理会社に連絡しても、なかなか対応してくれない、修理が遅々として進まない、といった状況に陥ることも残念ながらあります。お湯が出ない生活は長く続けられないため、迅速な対応を求めたいところです。このような場合の対処法を段階を追って解説します。

まずは催促の連絡を入れる

最初の連絡から数日経っても何の音沙汰もない場合や、修理の目途が立たないまま時間が経過している場合は、まず催促の連絡を入れましょう。

催促の際は、以下の点を明確に伝えることが重要です。

  • 以前の連絡内容: いつ給湯器が故障したのか、いつ最初の連絡を入れたのかを明確に伝えます。
  • 現在の状況: まだお湯が出ない状態が続いていること、日常生活に支障が出ていることを具体的に伝えます。
  • 求めている対応: いつまでに、どのような対応(例えば「修理の進捗状況を教えてほしい」「修理業者を手配してほしい」「具体的な修理開始日を教えてほしい」など)をしてほしいのかを具体的に伝えます。
  • 連絡手段: 電話だけでなく、メールやメッセージアプリなど、記録に残る形でも催促の連絡を入れておきましょう。これにより、いつ、どのような内容の催促をしたのかを後から証明できます。

感情的にならず、冷静に、しかし毅然とした態度で状況の深刻さと迅速な対応の必要性を伝えることが大切です。

書面(内容証明郵便など)で対応を求める

口頭やメールでの催促にもかかわらず、大家さんや管理会社が依然として適切な対応をしない場合、より強い意思表示として書面での通知を検討しましょう。特に内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を誰に送ったのかを郵便局が証明してくれるため、法的な証拠能力が高く、相手に心理的なプレッシャーを与える効果が期待できます。

内容証明郵便には、以下の内容を記載します。

  • 差出人・受取人の氏名・住所
  • 賃貸物件の特定: 物件名、部屋番号、所在地
  • 給湯器の故障の事実: いつからお湯が出ないのか、具体的な症状
  • これまでの経緯: いつ大家さん(管理会社)に連絡・催促したか
  • 修繕義務の履行請求: 民法に基づく大家さんの修繕義務に触れ、速やかに給湯器を修理または交換するよう請求する旨
  • 期限の設定: いつまでに対応してほしいのか、具体的な期限を設定します(例:「本書面到達後〇日以内に修理を開始してください」など)。
  • 期限までに対応がない場合の対応: 期限までに対応がない場合、賃料の減額請求や損害賠償請求(銭湯代など実費)、場合によっては自費での修理や契約解除も検討せざるを得ない旨を記載します。ただし、自費での修理や契約解除は法的にリスクを伴うため、記載には慎重さが必要です。

内容証明郵便の作成は、自分で行うことも可能ですが、費用はかかりますが行政書士や弁護士に依頼することもできます。専門家に依頼すれば、より正確で効果的な書面を作成してもらえます。

書面での通知は、大家さん側が「言った」「言わない」の争いを避け、正式に対応を検討せざるを得ない状況を作り出します。

弁護士や消費者センターなど公的機関への相談

内容証明郵便を送ってもなお大家さんや管理会社の対応が改善されない場合や、事態が深刻な場合は、専門家や公的機関に相談することを検討しましょう。

相談先リスト

相談先 概要 費用 特徴
弁護士 賃貸トラブル全般について法的な観点からアドバイス、大家さんとの交渉代行、訴訟手続きなどを依頼できる。 相談料(初回無料の場合あり)、依頼費用 最も専門的で包括的な法的サポートを受けられる。大家さんが弁護士を立てている場合などにも対応可能。
自治体の無料法律相談 各自治体(市区町村など)が定期的に実施している弁護士による無料法律相談。時間制限があるが、気軽に専門家に相談できる。 無料 費用をかけずに法律の専門家に相談できる。ただし、相談できる日時は限られている。
法テラス(日本司法支援センター) 法的な問題に関する情報提供や、経済的に余裕がない場合は弁護士費用などの援助(民事法律扶助制度)を受けられる。 相談無料、援助には審査あり 幅広い法的な問題に対応。経済的な理由で弁護士に依頼できない場合の選択肢。
消費者ホットライン(188) 消費者トラブルに関する相談窓口。賃貸契約も消費者契約に含まれるため、相談可能。必要に応じて専門機関を紹介してくれる。 電話料金のみ 消費者契約に関する幅広いトラブルに対応。どこに相談したらいいか分からない場合の最初の窓口として便利。
国民生活センター/消費生活センター 消費者ホットラインからつながることも多い。賃貸契約に関する相談事例も多く、具体的なアドバイスやあっせん(簡易な話し合いの仲介)を行ってくれる場合がある。 無料 賃貸トラブルに関する相談実績が豊富。法的な手続きではなく、話し合いでの解決をサポートしてくれる可能性がある。
住宅紛争審査会 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき設置された、住宅に関する紛争を解決するための機関。専門家が公平な立場で審査やあっせんを行う。 申請費用など(比較的低額) 住宅に関する専門的な紛争に対応。裁判よりも簡易・迅速な解決を目指せる。

これらの機関に相談することで、自分の状況が法的にどのように評価されるのか、どのような対応が可能か、より具体的なアドバイスを得ることができます。特に弁護士に相談すれば、大家さんの修繕義務違反を理由に、家賃の支払いを一部拒否したり、自分で業者を手配して修理し、その費用を大家さんに請求したり(自力救済は原則禁止ですが、例外的に認められる場合や、後から費用償還を求める法的な手続きが可能)、さらには契約を解除するといった選択肢についても検討できます。ただし、これらの対応は法的なリスクを伴うため、必ず専門家の指導のもとで行うようにしてください。

大家さんや管理会社との関係が悪化することを懸念するかもしれませんが、生活に必須の設備が使えない状況を放置することは、入居者にとって大きな負担です。適切な対応を求める権利を行使するために、必要であれば専門家の力を借りましょう。

給湯器の寿命と交換時期の目安

給湯器の故障の原因の一つに、「寿命」があります。一般的に、給湯器の寿命は10年から15年と言われています。使用頻度や設置環境によって前後しますが、この年数を超えた給湯器は、部品の劣化が進み、故障しやすくなります。

給湯器の製造年を確認し、設置から10年以上経過している場合は、寿命による故障である可能性が高いと考えられます。給湯器の製造年は、本体に貼られているシールに記載されていることが多いです。

寿命による故障であれば、これは入居者の故意や過失とは関係なく発生する自然な劣化です。したがって、寿命が原因での故障に関する修理や交換費用は、原則として大家さんの負担となります。

大家さんにとっても、古い給湯器は故障リスクが高く、修理を繰り返すよりも新しいものに交換する方が結果的に費用や手間がかからない場合があります。また、新しい給湯器は省エネ性能が高く、ガス代や電気代の節約につながるメリットもあります(これは入居者側のメリットにもなり得ます)。

入居者としては、もしお住まいのアパートの給湯器が設置からかなりの年数が経過していることに気づいたら、大家さんや管理会社に設備の点検や交換について相談してみるのも良いかもしれません。もちろん、使用に問題がない場合は必須ではありませんが、予防的な観点から話をしてみる価値はあります。

まとめ|アパート給湯器故障で困ったら、まずは大家さんへ連絡を

アパートの給湯器が故障してお湯が出ないという状況は、想像以上に不便で、入居者にとって大きなストレスとなります。しかし、慌てず、正しい手順で対処することが何よりも大切です。

まずは、本当に給湯器本体の故障なのか、ガス栓やブレーカー、リモコンなどを確認してみましょう。自分で解決できない場合は、速やかに大家さんまたは管理会社に連絡してください。この際、いつから、どのような症状が出ているのか、給湯器のメーカーや型番といった情報を正確に伝えることが、迅速な修理・交換につながります。

給湯器の修理・交換費用は、原則として大家さん(貸主)の負担です。これは、賃貸物件を居住可能な状態に維持する修繕義務が大家さんにあるためです。ただし、入居者の故意や過失による故障の場合は、入居者が費用を負担することになります。また、賃貸借契約書に修繕に関する特約が記載されている場合もありますが、一方的に入居者に不利な特約は無効となる可能性があります。

お湯が使えない修理・交換期間中の生活費(銭湯代やホテル代)や家賃については、大家さんの修繕義務の履行遅延が原因である場合に、必要かつ相当な範囲で負担を求めたり、家賃減額を交渉したりできる可能性があります。ただし、事前に大家さんと相談・合意することがトラブルを避ける上で非常に重要です。精神的な苦痛に対する「迷惑料」の請求は法的には難しいことが多いです。

もし大家さんや管理会社がなかなか対応してくれない場合は、まずは記録に残る形で催促を行いましょう。それでも改善が見られない場合は、内容証明郵便などの書面で正式な対応を求めたり、弁護士、自治体の無料法律相談、消費者センターなどの公的機関に相談したりすることを検討してください。

アパートの給湯器は、生活に必須の設備です。故障によって困ったときは、一人で悩まず、まずは賃貸借契約書を確認し、大家さんや管理会社に連絡することから始めましょう。あなたの生活が一日も早く元通りになるよう願っています。


免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースに関する法的な判断やアドバイスを提供するものではありません。具体的な問題については、必ず専門家や関係機関にご相談ください。

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