トイレの水位が低い！コポポ音や悪臭・害虫は？原因と対処法を徹底解説

2025 5/23

2025年5月23日 2025年5月23日

トイレの水位が低い、と感じたことはありますか？いつもの水位より明らかに少ない、あるいはほとんど水がない状態になっていると、不安になりますよね。この「トイレの水位が低い」という状態は、見た目の違和感だけでなく、様々な衛生上の問題を引き起こす可能性があります。この記事では、なぜトイレの水位が低くなるのか、その原因から、ご自身でできる応急処置や対処法、そしてプロである修理業者に依頼すべきケースや選び方まで、詳しく解説します。トイレのトラブルは放置せず、適切な対応で快適な状態を保ちましょう。

トイレの便器内に溜まっている水は、「封水（ふうすい）」と呼ばれます。この封水には、私たちの生活において非常に重要な役割があります。

封水の最も大切な役割は、排水管からの悪臭や害虫の室内への侵入を防ぐことです。排水管の先は下水道や浄化槽につながっており、そこには様々な汚水や汚物が流れています。当然、そこからは不快な悪臭ガスが発生し、また、ゴキブリなどの害虫も生息しています。封水は、この排水管と室内の空間を隔てる「フタ」の役割を果たしているのです。

通常、洋式トイレの便器にはS字やP字のような独特の形状の排水路（トラップ構造）があり、その構造によって常に一定量の水が溜まるようになっています。この溜まった水が封水です。

もし何らかの原因でこの封水の水位が低くなると、排水管と室内の空間を隔てるバリアが弱くなってしまいます。その結果、下水からの悪臭が室内に逆流したり、排水管を伝って害虫が侵入してきたりするリスクが高まります。さらに、封水が少ないと、次に水を流したときの排水の流れが悪くなることもあります。

つまり、「トイレの水位が低い」状態は、単なる見た目の問題ではなく、衛生環境や快適性に直接関わるトラブルなのです。原因を正しく理解し、早めに対処することが大切です。

トイレの水位が低い！考えられる原因とは？

トイレの水位が低くなる原因は一つではなく、いくつか考えられます。原因によって対処法が異なるため、まずは何が原因で水位が低くなっているのかを特定することが重要です。ここでは、考えられる主な原因を詳しく見ていきましょう。

一時的な水位低下の原因（蒸発）

最も軽度で一時的な原因として考えられるのが、封水の「蒸発」です。

長期間、トイレを使用しなかった場合や、旅行などで家を留守にしていた場合などに起こりやすい現象です。特に夏場や乾燥した季節、あるいは換気扇を長時間回しっぱなしにしている場合などは、便器内の封水が空気中に蒸発しやすくなります。

この場合の水位低下は自然な現象であり、一度水を流せば通常通りの水位に戻ります。悪臭や害虫の侵入リスクはありますが、原因としては比較的簡単に対処できます。

排水管の軽度のつまり

トイレットペーパーを一度に大量に流してしまった、あるいは排泄物の量が多い場合など、軽度のつまりが排水管の途中で起きている可能性があります。

完全に詰まっているわけではないため、排水はゆっくりと流れていきますが、流れが悪くなることで便器内の水位が通常より低くなることがあります。これは、排水管の途中で抵抗があるため、便器内の水がスムーズに流れず、溜まるべき水位まで戻らない、あるいは本来より低い位置で均衡してしまうために起こります。

この場合、水の流れが通常より遅い、流すときに「ゴボゴボ」といった異音がする、といった症状を伴うことが多いです。軽度のつまりであれば、ご自身で対処できる場合もあります。

便器や排水管の構造的な問題・破損

便器や排水管の構造そのものに問題がある、あるいはひび割れや破損が発生している場合も、水位が低下する原因となります。

特に、便器内のS字トラップなどの排水路にひびが入っていたり、排水管の接続部分が緩んでいたり破損していたりすると、封水が正常に保持されずに漏れ出してしまう可能性があります。この場合は、便器の周りが常に湿っている、床に水が漏れている、といった別の症状を伴うこともあります。

このような構造的な問題や破損は、専門的な知識や技術、専用の工具が必要となるため、ご自身で対処することは非常に困難です。発見した場合は、専門の修理業者に相談する必要があります。

集合住宅の排水管全体の異常

マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいの場合、ご自身の部屋だけでなく、建物全体の排水管に問題が発生している可能性も考えられます。

例えば、共有の排水縦管に大きなつまりが発生している場合、下層階のトイレで封水が吸い込まれてしまう「サイホン現象」が起こることがあります。この現象は、上層階で大量に水を流した際に、排水管内の気圧が急激に変化し、その負圧によって下層階の排水路にある封水が引っ張られてしまうことで発生します。

この場合、ご自身の部屋だけでなく、同じ排水系統にある他の部屋でも同様の症状が見られる可能性があります。集合住宅の場合は、まず管理会社や大家さんに連絡し、建物の設備全体の点検を依頼することが適切な対処となります。

トイレタンク内部品の故障（ボールタップ・フロートバルブ）

洋式トイレの多くは、便器に水を供給するトイレタンクを備えています。このタンクの中には、給水を制御するボールタップや、便器へ水を流すフロートバルブ（ゴムフロート）といった重要な部品があります。これらの部品が故障すると、便器への水の供給がうまくいかず、結果として水位が低くなることがあります。

ボールタップの故障: タンク内の水位を感知し、給水を止めたり始めたりする役割を担っています。ボールタップや浮き球に不具合があると、タンクに十分な水が溜まらなかったり、便器へ流す水の量が不足したりすることがあります。
フロートバルブ（ゴムフロート）の故障: タンクの底にある排水弁の蓋の役割を担っています。これが劣化して密着が悪くなると、タンクに溜めた水が便器へとチョロチョロと少量ずつ流れ続けてしまい、封水が本来の量まで溜まらなかったり、蒸発と組み合わさって水位が低くなったりします。また、鎖が絡まったり外れたりしても、弁が正常に閉じずに水が流れっぱなしになることがあります。

タンク内の部品故障は、水の流れ続ける音（「シュー」「チョロチョロ」）や、タンク内の水位が低いままになる、といった症状を伴うことが多いです。タンク内の部品は交換や調整で改善する場合がありますが、部品の特定や作業に自信がない場合は専門業者に依頼するのが安心です。

節水目的での不適切な水位調整

一部で誤った節水方法として知られているのが、トイレタンク内にペットボトルなどを入れて、タンクに溜まる水の量を物理的に減らすという方法です。

確かに一度に流れる水の量は減りますが、これは便器を洗浄し、汚物を適切に排水するために必要な水量も減らしてしまうことになります。結果として、便器内に溜まる封水の量も不足し、水位が低下する原因となります。

また、必要な水量が確保できないため、汚物がうまく流れずに詰まりやすくなるリスクも高まります。このような不適切な節水方法は、かえってトイレのトラブルを招きやすく、推奨できません。現在行っている場合はすぐに中止し、正規の節水機能付きトイレに買い替えるなどの方法を検討しましょう。

トイレの水位が低いことによる問題点（臭い・コポポ音・害虫）

トイレの水位が低い状態を放置すると、どのような問題が発生するのでしょうか。見た目の問題だけでなく、快適な生活を妨げる様々なトラブルにつながります。

悪臭が発生しやすくなる

前述の通り、便器の封水は排水管からの悪臭を防ぐためのバリアです。水位が低いと、この封水のバリアが不十分になり、下水からの不快な臭いが室内に逆流しやすくなります。特に夏場や気圧の変化が大きい日などは、臭いがより強くなることがあります。トイレのドアを開けた瞬間に嫌な臭いを感じるようになったら、水位の低下を疑ってみましょう。

害虫が侵入する可能性がある

封水は、排水管を通って室内に侵入しようとするゴキブリなどの害虫を防ぐ役割も担っています。水位が低いと、害虫が封水を乗り越えやすくなり、便器の中から室内に現れる、といった恐ろしい事態を招く可能性があります。衛生面から見ても、非常に不快で危険な状態です。

排水の流れが悪くなる（コポポ音など）

封水が少ないと、次に水を流したときに便器内の水量が少なくなり、排水管へと押し出す力が弱まります。これにより、汚物がスムーズに流れにくくなったり、排水に時間がかかったりすることがあります。また、排水時に「コポポ」「ゴボゴボ」といった通常とは違う異音が発生することもあります。これは、排水管内の空気や水の流れが不安定になっている兆候です。水位低下が軽度のつまりと関連している場合にも、このような異音は発生しやすくなります。

このように、トイレの水位低下は単なる軽いトラブルではなく、放置すると生活の質を著しく低下させる可能性があります。早期に原因を特定し、適切な対処を行うことが非常に重要です。

トイレの水位が低い場合の自分でできる対処法

トイレの水位が低い場合、原因によってはご自身で応急処置や簡単な修理ができることがあります。ただし、無理な作業はかえって状況を悪化させたり、ご自身が怪我をしたりするリスクもあります。作業を行う際は、必ず止水栓を閉めるなど安全を確保し、自己責任で行ってください。自信がない場合や、症状が改善しない場合は、迷わず専門業者に依頼しましょう。

水を足して一時的に水位を上げる（蒸発の場合）

長期間留守にしていたなど、蒸発が原因で水位が低下している場合は、バケツなどで水を便器に足して水位を回復させることができます。

水を汲む: バケツに水を汲みます。（約2～3リットル程度）
便器にゆっくり注ぐ: 便器の中央めがけて、静かに水を注ぎます。勢いよく注ぎすぎると水が跳ねたり、かえって水位が不安定になったりすることがあります。
水位を確認: 封水が通常の水位に戻ったか確認します。

これはあくまで一時的な応急処置です。一度水を流せば通常は水位が戻りますが、もしすぐにまた水位が下がってしまう場合は、蒸発以外の原因が考えられます。

軽度のつまりを解消する

軽度のつまりが原因で水位が低い場合は、以下のような方法で解消できる可能性があります。作業前に、必ず便器内の水位を調節してください。溢れそうな場合は、灯油ポンプなどで水を汲み出してから作業しましょう。

ラバーカップ（すっぽん）や真空式パイプクリーナーを使う

最も一般的なつまり解消法です。

使用方法:

ラバーカップまたは真空式パイプクリーナーのゴム部分が、便器の排水口を完全に覆うように密着させます。
便器内の水位が、ゴム部分が浸る程度にあることを確認します。水位が低い場合は、バケツなどで水を足します。
ラバーカップの場合、ゆっくりと押し込んでゴム部分の空気を抜き、次に勢いよく「引き」ます。これを数回繰り返します。真空式パイプクリーナーの場合は、ハンドルを押し込んでゆっくり空気を抜き、勢いよくハンドルを引きます。
つまりが解消されると、ゴゴゴという音とともに水が勢いよく流れたり、水位が正常に戻ったりします。
最後に少量のトイレットペーパーを流してみて、問題なく排水されるか確認します。

重曹とクエン酸（お酢）を使う

化学反応を利用してつまりを溶かす方法です。軽度の有機物汚れやつまりに有効です。

使用方法:

便器内の水をできるだけ少なくします。（灯油ポンプなどで汲み出すか、水を流さずに水位が下がるのを待ちます）
重曹をカップ1/2程度、便器の排水口周りに振り入れます。
次に、クエン酸をカップ1/4程度、またはお酢（穀物酢以外）をカップ1程度、重曹の上からゆっくりと注ぎます。
シュワシュワと泡立つ化学反応が起こります。この状態で30分〜1時間ほど放置します。
最後に、50℃以下のぬるま湯をバケツで便器にゆっくりと流し込み、つまりが解消されたか確認します。熱湯は便器を傷める可能性があるので絶対に使用しないでください。

ぬるま湯を流す

水の温度を上げることで、油汚れなどによるつまりを溶かしやすくする方法です。

使用方法:

40℃〜50℃程度のぬるま湯を用意します。（熱湯は便器を傷めるのでNG）
バケツにぬるま湯を汲み、便器の排水口に向かって、便器の縁からやや高い位置からゆっくりと勢いをつけて注ぎ込みます。
これを数回繰り返します。
つまりが解消されたか確認します。

トイレタンク内部を確認・調整する

トイレタンク内の部品に不具合がある場合は、確認や簡単な調整で改善することがあります。作業を行う際は、まず止水栓を閉めて水の供給を止めてください。

作業手順の例:

確認・調整項目	確認箇所・方法	対処方法
ボールタップの不具合	タンク内の水位が設定水位より低いままになっていないか。浮き球やアームが他の部品に引っかかっていないか。	浮き球やアームが引っかかっている場合は、邪魔なものを取り除く。水位調整ねじがある場合は、規定の位置に調整する。
フロートバルブの不具合	タンク底のゴムフロートが劣化して歪んでいないか。フロートとつながる鎖が絡まったり、長すぎたり短すぎたりしないか。	ゴムフロートが劣化している場合は交換する。鎖が絡まっている場合はほどく。鎖が長すぎると弁が完全に閉じないため、適切な長さに調整する。

※タンク内部の部品は多岐にわたり、構造も機種によって異なります。取扱説明書を確認するか、メーカーや専門業者に相談することをおすすめします。部品交換が必要な場合は、ご自身のトイレのメーカーや型番を確認してから行うようにしましょう。

自分でできる対処法の注意点

止水栓を必ず閉める: 作業中の予期せぬ放水を防ぐため、必ずトイレの止水栓を閉めてからタンクの蓋を開けたり、便器の水を扱ったりしましょう。
無理な力は加えない: 便器や配管は陶器製やプラスチック製でできていることが多く、無理な力を加えると破損の原因となります。
薬剤の使用に注意: 強力なパイプクリーナーなどは、使用方法を誤ると配管を傷めたり、有毒ガスが発生したりする危険があります。表示をよく確認し、換気を十分に行って使用してください。
異物を流した場合は無理しない: スマートフォンやおもちゃなど、固形物を誤って流してしまった可能性がある場合は、自分で無理につまりを解消しようとせず、すぐに専門業者に相談しましょう。奥に押し込んでしまうと、修理が大がかりになる可能性があります。

自分で対処しても水位が改善しない、あるいは悪化してしまった場合は、迷わず専門業者に依頼することが賢明です。

専門業者に修理を依頼する目安とポイント

自分でできる対処法を試してもトイレの水位が改善しない場合や、原因が特定できない、あるいはより深刻な問題が疑われる場合は、速やかに専門の修理業者に依頼することをおすすめします。プロの技術と知識があれば、安全かつ確実にトラブルを解決できます。

こんな症状の場合は業者に相談しましょう

以下のような症状が見られる場合は、ご自身での対処が難しいため、専門業者に相談する目安となります。

自分でできる全ての対処法を試したが、水位が改善しない。
頻繁にトイレの水位が低くなる。（一時的な蒸発ではない）
便器やその周辺から水が漏れている痕跡がある。（構造的な破損の可能性）
排水管から「ゴボゴボ」という異音が頻繁に、あるいは大きく鳴る。（奥でつまりが発生している可能性）
便器内に固形物を落として流してしまった。
集合住宅で、他の住戸でも同様のトラブルが起きている。（建物全体の配管問題の可能性）
トイレタンク内部品の不具合が疑われるが、どの部品か分からない、交換方法が分からない。
賃貸物件である。（勝手に修理すると契約違反になる場合がある。まずは管理会社や大家さんに連絡しましょう。）
原因が全く分からない。
作業に自信がない、あるいは時間がない。

これらの症状は、排水管の奥深いつまりや、便器・配管の破損、タンク内部の複雑な不具合など、専門的な対応が必要な原因である可能性が高いです。無理せず、プロに任せましょう。

信頼できる修理業者を選ぶポイント

いざ修理業者に依頼しようと思っても、数多くの業者があり、どこに頼めば良いか迷うかもしれません。ここでは、信頼できる業者を選ぶためのポイントをいくつかご紹介します。

業者選びのポイント	詳細
見積もりが明確か	事前に見積もりを提示し、作業内容と料金の内訳を丁寧に説明してくれるか確認しましょう。不明瞭な点があれば、遠慮なく質問することが大切です。
料金体系が明確か	基本料金、出張費、部品代、作業費などがホームページや説明で明確になっているか確認しましょう。「○○円〜」といった曖昧な表示だけでなく、目安の料金も確認できると安心です。
実績・口コミ	過去の修理実績が多いか、インターネット上の口コミや評判が良いかなどを参考にしましょう。ただし、口コミはあくまで参考情報として判断することが重要です。
対応の速さ	特に急を要する場合、連絡してから駆けつけるまでの時間が短いかどうかも重要なポイントです。深夜や休日対応が可能かどうかも確認しておきましょう。
資格・許可	水道工事に関する資格（例: 給水装置工事主任技術者）や、自治体からの指定工事店としての認可などがあるかも信頼の目安になります。
保証制度	修理後の保証制度があるか確認しましょう。万が一、同じ箇所が短期間で再発した場合に、無償で再修理してくれるかどうかも確認しておくと安心です。
受付対応	電話やメールでの問い合わせに対して、丁寧で迅速な対応をしてくれるかどうかも、業者の信頼性を判断する材料になります。