給湯器が突然点火しなくなり、お湯が出なくなると、日常生活に大きな支障が出て困ってしまいますよね。「給湯器 点火しない」という状況は、寒くなる時期や真夏など、お湯を使う頻度が高い時期に起こりやすく、原因もさまざまです。
この記事では、給湯器が点火しない原因として考えられるものから、まずご自身で確認・試せる応急処置、そして専門業者に依頼するべきケースや業者選びのポイント、さらに修理・交換の費用相場までを詳しく解説します。この記事を読めば、落ち着いて原因を特定し、適切な対処法を見つけることができるでしょう。
給湯器が点火しない主な原因
給湯器が点火しない原因は一つではなく、複数の可能性が考えられます。まずは、どのような原因があるのかを知ることから始めましょう。原因によって、自分で対処できるものと専門業者に依頼が必要なものがあります。
点火不良や着火不良に関する原因
給湯器が点火する仕組みには、バーナーへのガス供給、点火プラグによる火花、そして炎を検知する炎検知器など、複数の部品が連携しています。これらの部品のいずれかに不具合があると、点火不良や着火不良が起こり、給湯器が点火しない原因となります。
点火プラグの劣化や汚れ、炎検知器の不具合、バーナーの詰まりや損傷、ガス供給を制御する電磁弁の不具合などが考えられます。これらの内部部品の不具合は専門的な知識と工具が必要となるため、自分で修理することは非常に危険です。必ず専門業者に点検・修理を依頼する必要があります。
ガス供給に問題がある場合
給湯器はガスを燃焼させてお湯を沸かします。そのため、ガス自体が正常に供給されていない場合、給湯器は点火しません。
給湯器につながるガス栓が閉まっている、地震や長時間使用などでガスメーター(マイコンメーター)が安全のためにガス供給を自動的に遮断している、ガス料金の滞納、プロパンガスの残量不足などが原因として挙げられますれます。これらのガス供給に関する問題は、比較的自分で確認しやすい原因です。特にガスメーターの遮断は、復帰操作を自分でできる場合があります。
水圧や水量に問題がある場合
給湯器は、一定以上の水圧や水量がなければ安全に作動しない仕組みになっています。水圧や水量が不足している場合も、点火しない原因となることがあります。
家全体の水道元栓や給湯器の給水元栓が閉まっている、地域全体で断水している、給湯器の給水口にあるストレーナー(給水フィルター)にごみや錆などが詰まっている、給湯栓が開ききっていないなどが考えられます。水圧や水量の問題も、自分で確認できる項目が多いです。給水フィルターの掃除も、取扱説明書を見ながら安全に行える場合があります。
電源や電気系統に問題がある場合
給湯器の点火や制御には電力が不可欠です。電気的なトラブルも、点火しない原因として考えられます。
給湯器の電源プラグが抜けている、給湯器専用のブレーカーが落ちている、ごく稀にリモコンの電池切れ、給湯器を制御している基板や配線などが故障しているなどが挙げられます。電源やブレーカーの問題は自分で比較的容易に確認・対処できますが、内部の電気系統の故障は専門知識が必要です。
冬場の凍結や湿気などの外的要因
季節や気候も給湯器の点火に影響を与えることがあります。
冬場、外気温が氷点下になると、給湯器につながる給水管や給湯管、給湯器内部の熱交換器などが凍結し、水が流れなくなったり、部品が破損したりして点火しないことがあります。湿度が高い環境では、給湯器内部の電子部品などに湿気が影響し、一時的な誤作動や故障を引き起こす可能性もゼロではありません。特に凍結は冬場の給湯器トラブルの代表的な原因です。凍結の場合は、無理に温めたりせず、適切な方法で解凍を待つか、専門業者に相談することが重要です。
給湯器本体の故障や寿命
長年使用している給湯器は、部品の劣化が進み、寿命を迎えている可能性があります。寿命が近づいている給湯器は、特定の部品だけでなく、複数の箇所に不具合が生じやすくなります。
バーナー、熱交換器、ファン、ポンプ、基板など、給湯器を構成する様々な部品が経年劣化により性能が低下し、正常に動作しなくなることがあります。一般的に給湯器の設計上の標準使用期間は10年とされています。10年以上経過した給湯器は故障のリスクが高まり、修理をしても他の部品がすぐに故障するなど、費用対効果が悪くなることが多いです。この場合は、修理よりも交換を検討することが推奨されます。給湯器本体の故障や寿命の場合は、自分で対処することは困難であり、専門業者による点検・修理または交換が必要となります。
給湯器が点火しない時にまず自分で試せること
給湯器が点火しないとき、すぐに業者を呼ぶ前に、安全に自分で確認・試せる応急処置がいくつかあります。まずは落ち着いて、以下の項目を順番に確認してみましょう。
エラーコードを確認する
多くの給湯器には、異常が発生した場合にリモコンにエラーコードが表示される機能があります。リモコンの表示を確認し、エラーコードが表示されていないか確認します。表示されているエラーコードを、給湯器の取扱説明書やメーカーの公式サイトで調べ、表示内容に従った簡単な対処法(例: リセット操作など)があれば試してみます。エラーコードは、給湯器が自身で検知した不具合を示しており、修理業者に伝えることでスムーズな対応につながります。
給湯器の電源リセットを行う
給湯器の一時的な不具合や誤作動は、電源リセットで解消することがあります。給湯器の電源プラグを抜く(屋外の場合は安全に注意)か、給湯器につながるブレーカーを「OFF」にし、5分〜10分ほど待ちます。その後、電源プラグを差し込むかブレーカーを「ON」に戻し、給湯を試して点火するか確認します。ただし、頻繁にブレーカーが落ちる場合は電気系統の異常の可能性が高いです。
ガスメーターやガス栓を確認する
ガス供給が正常に行われているかを確認します。給湯器本体につながるガス栓が「開」の状態になっているか確認します。また、ガスメーター(マイコンメーター)を確認し、赤いランプが点滅してガスが遮断されていないか確認します。ガスメーターが遮断されている場合は、一般的な復帰操作を試みます。ガス臭がする場合は、火気厳禁で速やかにガス会社に連絡してください。
給水元栓を確認する
水圧・水量が不足していないかを確認します。家全体の水道元栓や給湯器の給水元栓が完全に開いているか確認します。他の蛇口で水が出るか確認し、断水ではないか確認します。給湯器の給水口にあるフィルターにゴミが詰まっている場合は、止水栓を閉めてからフィルターを取り外し、掃除することもできますが、自信がない場合は無理に行わないでください。
冬場の凍結を解消する
冬場に給湯器が点火しない場合は、凍結の可能性が高いです。凍結予防策として給湯栓を少し開けておく方法がありますが、凍結してしまった場合は、気温の上昇による自然解凍を待つか、凍結していると思われる配管部分にタオルを巻き付け、30℃〜40℃程度のぬるま湯をゆっくりとかけて解凍を促します。熱湯をかけると配管が破損する危険があるため絶対に避けてください。
リモコンの状態を確認する
給湯器本体だけでなく、リモコンの状態も確認してみましょう。リモコンの電源が入っているか、設定温度は適切か、「給湯」モードになっているかなどを確認します。一時的な通信不具合であれば、電源リセットで改善することが多いです。
これらの自分で試せる応急処置で改善しない場合は、給湯器本体の故障や、より専門的な原因が考えられます。
自分で解決できない場合に専門業者に依頼する基準
自分で応急処置を試しても給湯器が点火しない場合や、以下のような状況の場合は、安全のためにも速やかに専門業者に点検・修理を依頼しましょう。無理に自分で解決しようとすると、かえって状況を悪化させたり、危険な事故につながる可能性があります。
エラーコードが表示されている場合
エラーコードが表示されており、取扱説明書に従った対処を行っても改善しない場合や、安全に関わる可能性のあるエラーコード(ガスや燃焼関連など)が表示されている場合は、給湯器内部に根本的な不具合がある可能性が高いため、迷わず専門業者に連絡してください。
異音や異臭がする場合
給湯器から普段とは違う大きな異音(爆発音、金属音など)がする、またはガス臭がする場合は、非常に危険な状態である可能性が高いです。直ちに給湯器の使用を中止し、安全を確保した上で契約しているガス会社に緊急連絡してください。火気の使用は厳禁です。
設置から10年以上経過している場合(寿命サイン)
給湯器の設計上の標準使用期間は一般的に10年です。10年以上経過している給湯器は内部部品の劣化が進んでおり、故障のリスクが高まります。点火しないという症状が出た場合、たとえ修理できてもすぐに別の箇所が故障する可能性が高く、費用対効果が悪くなることが多いです。この場合は、寿命であるサインと捉え、修理よりも新しい給湯器への交換を検討することをおすすめします。
上記の応急処置で改善しない場合
エラーコード確認、電源リセット、ガス・水・電気系統の確認、冬場の凍結対策など、自分で試せる基本的な応急処置をすべて行っても給湯器が正常に点火しない場合は、給湯器本体の故障や、自分で対処できない専門的な原因が考えられます。この段階で無理な自己判断や分解などはせず、速やかに専門業者に点検・修理または交換の相談を依頼しましょう。
給湯器の修理・交換業者の選び方
給湯器の修理や交換は専門的な知識と技術が必要な作業です。安心して任せられる信頼できる業者を選ぶことが重要です。悪質な業者に依頼してしまうと、高額な費用を請求されたり、不適切な工事をされたりするリスクがあります。
信頼できる業者を見つけるポイント
いくつかの業者を比較検討し、以下のポイントを確認しましょう。複数の業者から見積もりを取り、料金だけでなく工事内容や保証内容などを比較します。業者のホームページなどで、過去の施工実績や顧客からの口コミ、評価などを確認することも有効です。ガス機器設置スペシャリストなどの資格保有者がいるか、安全な工事を行うための登録業者であるかなども確認ポイントです。また、問い合わせへの対応が迅速で丁寧か、質問に分かりやすく答えてくれるかなども判断基準になります。修理や交換工事に対する保証期間や保証内容が明確かも事前に確認しておくと安心です。
見積もり内容を確認する際の注意点
受け取った見積もりは、金額だけでなく内容をしっかり確認することが大切です。修理箇所や交換する部品名、工事内容、材料費、工事費、出張費などが細かく記載されているか確認します。曖昧な記載が多い場合は注意が必要です。見積もり金額以外に追加で費用が発生する可能性があるのか、どのような場合に発生するのかを事前に確認しておきます。見積もり後にキャンセルする場合の条件や費用についても確認しておくと安心です。見積もり金額が最終的な支払い総額になるのか、税込みか税抜きかなども含めて明確にしておきましょう。
業者選びは、給湯器の修理・交換を成功させるための重要なステップです。焦らず、しっかりと比較検討して信頼できる業者を選びましょう。
給湯器が点火しない原因別の修理・交換費用相場
給湯器が点火しない原因によって、修理にかかる費用は大きく異なります。また、修理が難しい場合は交換が必要となり、その場合の費用はさらに高額になります。あくまで目安ですが、一般的な費用相場を以下の表に示します。
原因・症状 | 修理/交換箇所 | 費用相場(目安) |
---|---|---|
点火プラグ・炎検知器の劣化/不具合 | 点火系部品交換 | 1万円~3万円 |
電磁弁の不具合 | 電磁弁交換 | 2万円~5万円 |
基板の故障 | 基板交換 | 3万円~7万円 |
ファンモーターの不具合 | ファンモーター交換 | 3万円~5万円 |
熱交換器の不具合/水漏れ | 熱交換器修理/交換 | 5万円~10万円以上(※) |
ガス系統の詰まり/不具合 | 専門業者による点検・清掃 | 1万円~3万円 |
水量センサー/水圧センサーの不具合 | センサー交換 | 2万円~4万円 |
給湯器本体の寿命/大規模な故障 | 給湯器本体の交換 | 15万円~40万円以上 |
(一般的な壁掛け式、20号〜24号の場合) | (本体価格+工事費) | |
出張点検費 | なし | 5千円~1万円程度 |
基本工事費(交換の場合) | 給湯器の設置・接続 | 5万円~10万円程度 |
追加工事費(交換の場合) | 特殊な設置場所、配管工事 | 1万円~5万円以上 |
※熱交換器の修理は高額になることが多く、年数が経過している場合は交換が推奨されるケースが多いです。
上記の費用はあくまで目安であり、給湯器のメーカー、機種、号数、設置場所、業者の料金体系などによって変動します。修理費用は部品代と技術料、出張費の合計です。交換費用は新しい給湯器本体の価格に、既存給湯器の撤去費用、設置工事費用などが加算されます。一般的に、設置から10年未満であれば修理を検討する価値がありますが、10年以上経過している場合は、交換の方が長期的に見て経済的である場合が多いです。
メーカー別(ノーリツ・リンナイなど)の点火しない原因と対処法
日本国内で広く使われている給湯器メーカーとしては、ノーリツ、リンナイ、パロマなどがあります。基本的な点火しない原因や自分でできる対処法は共通していますが、メーカーごとにエラーコードの種類や表示方法、取扱説明書の内容、サポート体制などが異なります。
主要メーカーに共通する点としては、リモコンにエラーコードが表示される機能があること、電源リセットが有効な場合があること、ガス・水・電気系統の供給問題や冬場の凍結はどのメーカーでも発生しうる原因であることが挙げられます。
メーカー別の確認ポイントとしては、各メーカーの公式サイトに掲載されているエラーコード一覧と簡単な対処法を参照すること、購入時に付属している取扱説明書を確認することなどが重要です。また、メーカーに修理を依頼する場合や自分で判断できない場合は、各メーカーのお客様センターに問い合わせることも可能です。製品の品番や製造番号を控えておくとスムーズです。
以下の表は主要メーカーの特徴やサポート例の概要です。
メーカー | 特徴・確認事項 | サポート連絡先(例) |
---|---|---|
ノーリツ | 多様な機種ラインナップ。エラーコード検索システムなど公式サイトの情報が充実。 | お客様センター、修理受付(公式サイトに掲載) |
リンナイ | 高い国内シェア。省エネ性能に注力。エラーコード検索システムあり。 | お客様センター、修理受付(公式サイトに掲載) |
パロマ | シンプルな操作性。安全サービスを提供。 | お客様相談室、修理受付(公式サイトに掲載) |
その他 | 販売店や専門業者独自のブランド、地域密着型メーカー。 | 購入した販売店や工務店、またはメーカーの公式サイト。 |
メーカーに直接修理を依頼する場合と、地元の専門業者に依頼する場合で、対応の速さや費用、保証内容などが異なることがあります。ご自身の状況や優先順位に合わせて検討しましょう。
まとめ:給湯器の点火しないトラブルは原因特定と迅速な対応が重要
給湯器が点火しないというトラブルに遭遇した場合、まずは落ち着いて原因を特定することが重要です。ガス、水、電気の供給に問題がないか、エラーコードは表示されていないかなど、自分で確認できる基本的なことから順にチェックしましょう。電源リセットやガスメーターの復帰操作など、自分で安全に試せる応急処置で改善する場合もあります。
しかし、自分で試せる範囲を超えている場合や、異音・異臭がする場合、設置から10年以上経過している場合などは、無理せず速やかに専門業者に依頼することが大切です。給湯器内部の故障は専門的な知識と技術が必要であり、誤った対処は状況を悪化させたり、ガス漏れなどの危険な事故につながる可能性があります。
信頼できる専門業者を選ぶためには、複数の業者から見積もりを取り、実績や資格、対応などを比較検討することが重要です。費用相場も参考にしながら、納得のいく業者に修理または交換を依頼しましょう。
給湯器のトラブルは予期せず起こるものですが、原因を正確に把握し、迅速かつ適切な対応をとることで、安全にお湯のある生活を取り戻すことができます。もし給湯器の点火不良でお困りの場合は、この記事を参考に原因を切り分け、必要であれば専門業者に相談してみてください。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、給湯器の修理や交換に関する個別の状況への対応を保証するものではありません。給湯器の修理や交換は専門的な作業であり、ご自身の判断で行うと危険を伴う場合があります。必ず給湯器の取扱説明書を確認し、安全に配慮した上で、必要に応じて専門業者にご相談ください。本記事の情報に基づいて発生したいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。